Feathercraft Technology(フェザークラフト テクノロジー)

cetus-logo-navy80.png
Paddle Surf & Trip

Feathercraft Specialty Shop Cetus

Technology

進化し続けるスキンカヤック

Feathercraftのカヤックは、伝統的なカヤック本来の姿(構造)を継承するスキンカヤックです。
しかし歴史的なカヤックの復元品ではありません。カヤックならではのユニークで合理的な構造を活かしつつ、より使いやすくなるように現代の先進的な技術を積極的に導入しています。
そして、伝統的なスキンカヤックは折り畳み式ではありませんでしたが、「フレームとスキンから成る構造」と現代の技術力を組み合わせれば、他の種類のボートより無理なく特徴を損なうこともなく、折りたたみ式にすることが可能です。

Feathercraftは、カヤック品来の性質や性能と現代のハイテクノロジー、そして折り畳むことのできる利便性を兼ね備えた、進化し続けているスキンカヤックです。

k1-illst.gif

The Sealskin : 船体布

フェザークラフトは、デッキ用にはポリテック生地を採用し、ハル用には非常に丈夫で尚且つしなやかな生地デュラテックを開発し、さらに「RF(radio frequency) Welding :電磁波溶着」と、「CP(continuous process) Welding:連続工程溶着」とを組み合わせたシステムを開発することによって、頑丈で水を通さないスキンカヤックを作ることを実現しました。"Sealskin(シールスキン)" は、フェザークラフトの開発した、その頑丈且つ水を通さない船体布の名称です。

※ SealskinはFeathercraft Folding Kayaksの登録商標です。

The Hull 船底

ほとんどのフォールディングカヤックのハルの素材は、ナイロンかポリエステルの布地が基盤になっています。そしてその布地にPVC(ポリ塩化ビニル)、ハイパロン、ウレタンなどがコーティングがされているわけです。基盤として適した生地は、粘り強い繊維がきつく織られたバランスドウィーブ(縦方向横方向ほぼ同じ本数の織り)の布地です。

長い間、Feathercraftはハルの素材にハイパロンを使用していました。ハイパロンは非常に丈夫で耐久性の高い最も優れた素材でしたが、ハイパロン素材のハルを作るには、各部の接合には接着剤など色々有毒な化学物質が必要です。ハイパロンでハルを作るには、有害で大変厳しい作業が必須でした。また溶着することが不可能なので、デッキとの繋ぎ目には縫製の針穴も残ってしまいます。
多くのフォールディングカヤックやインフレータブルボートに使用されているPVCは、熱溶着が可能でコストも安い(ハイパロンやウレタンの約1/4)のですが、ハイパロンやウレタンと比較すると見た目ほどには摩擦に対する強度が高くはなく、紫外線にも強くないので、ハル用の素材としてFeathercraftの品質基準に適う耐久性を備えている素材ではありません。PVCを使った代表的な防水生地にはターポリン(商品名)が挙げられます。

ウレタンはハイパロンゴムよりしっかりしている(PVCよりさらに)ので、より摩擦に強く、軽い特性があります。そしてウレタンは溶着が可能です。
ウレタンの摩擦に対する強さは昔から知られていたのですが、トラックの幌やラフトボートに使用されてきた大量生産品の片面コーティングの素材は、カヤックの微妙な形状を象るにはしなやかさが足りず、また従来の接着方法では接合が非常に困難でした。

Duratek デュラテック

Feathercrftは、生地のメーカーと研究を重ね厳しいテスト繰り返し、最高強度を誇りしなやかさを兼ね備えたカヤックのハルに最適な素材、''Duratek(デュラテック)'' を開発しました。そしてRF weldingと、CP weldingを組み合わせたシステムを開発することによって、ウレタンのハルの製造が実現したのです。そして現在は全モデルのハルにデュラテックを使用しています。

デュラテックの製造工程を簡単にご紹介します。まずバリスティック840デニールハイテナシティナイロンのバランスドウィーブの生地に、ポリウレタン溶液を染み込ませ、コーティングを施します。剥離の起こらない完全な結合は、しっかりと基盤の生地にポリウレタン溶液をしみこませていくことによって確立されます。そしてこの工程を繰り返し行いコーティングを重ね、独自のスペックの重量に仕上げます。コーティングを重ねて行く工程は手間のかかる作業ですが、このような行程を経て、柔軟性があり、溶着が可能で、高い耐摩擦強度を誇る素材が完成します。

ハルの補強

hull.jpg摩滅や磨耗の80%はハルのキールとチャインに沿って発生します。ですから、全てのFeathercrftのカヤックはこれらの部分に補強をしています。チャインバーの当たる部分には外側から、一番擦りやすく傷めやすいい箇所であるキールバーの当たる部分には、表裏両側から約5cmの幅のウレタンストリップがCP welding技術によって溶着されています。CP weldingは、アウトドアスポーツ用品には初めて導入された技術です。非常に手間もコストもかかる行程ですが、この補強なしでは完璧なハルではないというのが、Feathercrftの見解です。


ハルの強度

適正な扱いと手入れで、30年の耐用年数があります。扱い方はFRPカヤックのハルと同様で結構です。絶対に駄目だというわけではありませんが、岩の上を引きずったり、珊瑚やフジツボの上に乗り上げるようなことは極力避けてください。しかし面白い点は、このような場合にFRPやポリエチレンなどのハルは削れてしまったり、ささくれが出来てしまったり、割れるといった現象が起こるわけですが、布(スキンカヤック)の場合は、へこんで障害物を逃すこともあるわけで、意外と無傷で済む場合が多々あります。

ハルの補修

大変丈夫なハルですが、傷ついたり穴が空いてしまった場合は勿論修理が可能です。そしてFeathercrftの全モデルにリペアキットが標準装備で付属しています。ハルの補修は、自転車のタイヤチューブのパンク修理と同じような要領で行えます。実際の修理方法については、 [ Owner's Manual2 ] のページをご覧ください。

The Deck デッキ

Polytek ポリテック

デッキ用の素材ポリテックも、ハルと同様のウレタン素材です。近年、生地産業に素晴らしい技術の進歩がありますが、ポリテックはアウトドア産業にとって革命的な新素材の一つです。非常に丈夫で、とにかく水に対して強い生地です。
fabric.jpg
ポリテックの製造工程を簡単にご紹介します。まず、大変丈夫な420デニールハイテナシティーナイロンのバランスドウィーブ(縦横同じ本数の繊維の織り方)の生地の表面に一平方ヤード当たり4.5オンス(約152.4g/m2)のウレタンをエンボスコーティング(生地のパーターンが浮き出るコーティング)します。しっかりとエンボスコーティングの施された生地表面は、コーティングが剥離してしまうことがなく、コーティング面にありがちな見た目の弱さや不自然さもありません。そして更に裏面には一平方ヤード当たり2オンス(約67.9g/m2)のウレタンをコーティングします。このように生地の両面にウレタンコーティングを施すことにより、水を一切通さず、繊維間にも保水しない完全防水の壁が作られます。そしてポリテックは溶着が可能で、耐摩擦強度に優れ、大変色落ちのしにくい素材です。
一般的な防水生地は生地の裏面、片面のみにコーティングを施したり、フィルムが貼り付けられています。生地の表面は撥水処理のみなので、撥水機能が弱まってきたり、限度を超えるとコーティングが水を通さなくても生地は水を吸ってしまいます。当然ですが、吸水してしまった生地を乾かすのには相応の時間が必要です。しかしポリテックは全く水を吸わないわけですから、カヤックの使用後の後片付けに要する手間と時間が格段に省けます。またPVCと比べても紫外線や摩擦に対しての強度が断然優れています。
deck[1].jpg
デッキの主要部分はRF Welding(電磁波溶着)され、溶接部の重なりは継ぎ目がほとんど確認できないほど平坦な仕上がりになっています。デッキの補強用ストリップ(細長い布切れ)は、Continuous Process Welding(連続工程溶着)により接合されます。


溶着技術

RF ( Radio Frequency ) Welding 電磁波溶着

rf.jpgRF(電磁波)を一定時間2枚のポリウレタン素材に当て溶着します。2枚のポリウレタン素材は上下の伝導体の圧力により固定されています。この工程においてポリウレタン分子は励起状態となり、2枚のポリウレタン素材は完全に一体となって接合します。


CP ( Continuous Process ) Welding 連続工程溶着

cont.jpgFeathercraft社は、設備製造業者と共に3年にわたる試行錯誤の末、この最先端技術の製造工程を自社工場にて実現するに至りました。2枚のウレタン素材の表面に熱を加えながらローラーに通し、溶着します。温度、速度、圧力は全てコンピューター制御されています。


デッキとハルの接合

dream.jpgどんなに防水性の高い生地を使用しても、デッキとハルを縫い合わせるときの針穴は水を通す穴となってしまいます。ウレタン素材と高度な溶着技術が、針穴の全くない船体布 "シールスキン" を生み出します。
バウからスターン全体にかけてデッキとハルの継ぎ目にウレタンのソリッドストリップ(細長い切れ)が走っています。このウレタンストリップは部分的に幅を広くして、ループやストラップ付けるところにしています。
まずウレタンストリップとデッキを縫い合わせます。それからデッキはハルに狭い縫い代で縫い付けられます。そしてデッキは縫い付けられたウレタンストリイプの上から縫い代部分をRC(電磁波)溶着されます。
ウレタンストリップは、デッキとハルの接合部分をスムースに埋めるためのガスケットの役割を果たします。この方法によってデッキとハルは隙間なく強力に継接合され、針穴も完全に埋められているので、水が浸透することは全くありません。

The Frame : 骨格

frame[1].png

古いタイプのフォールディングカヤックのフレームは木製で、金具類には主に真鍮が使われていました。良い素材を使用して丁寧に作られたものであれば、それはそれなりの趣がありますが、現在の技術水準で考えると強度や耐久性に優れた素材とは言えず、扱いや手入れにも手間がかかります。
Feathercraftのフレームには 強度、耐久性、重量の軽さ、扱いやすさ、材料の入手のしやすさなどにおいて現在考えられる最もバランスの取れた素材、マグネシウム/アルミニウム合金と高密度ポリエチレンまたはポリカーボネイトの組み合わせを用いています。

6061-T6 anodized magnesium/aluminum alloy

assembly.jpgカヤックの前後方向に伸びるフレームには、航空機産業に使用されているのと同様の耐腐食加工のされた6061-T6マグネシウム/アルミニウム合金を使用しています。アルミの特性は周知の通り強く軽量で、しかも弾力性があることです。フレームが傷んだ場合は、パーツを部分的に交換することが可能です。またフレーム用のアルミ合金パイプは均一な品質の素材が安定供給されるルートから仕入れていますので、パーツの規格が合わずに修理不能な事態に陥るなどいった心配がありません。そうした意味でも末永く安心してご使用いただけます。リベットやビスなどフレームワークに使用されている金具類の全てはアルミかステンレス製です。

HDPE or Polycarbonate Cross-ribs
高密度ポリエチレン、ポリカーボネイトクロスリブ

rib1.JPGクロスリブはカヤックの厚みや幅を構成し、カヤックのシルエットを決定付けるものですが、長いフレームに対する水や地面からの衝撃を吸収するクッションの役割りも果たします。初期のFeathercraftでは、高密度ポリエチレンとアルミの両方のクロスリブを併用していました。しかしアルミのクロスリブは、他のフレームとのジョイント部分で壊れやすい傾向があることを発見しました。プラスチックの場合はそれがなく、フレーム全体のショックアブソーバーの働きをします。木のフレームは壊れやすい傾向が高いので、Feathercraftでは使用していません。
現在、Feathercraftの全てのカヤックのクロスリブは高密度ポリエチレン、またはポリカーボネイトで作られています。K1、Khatsalano、Wisper、K2、 Klondike のクロスリブには高密度ポリエチレンを使用しています。この素材は割れるようなことは滅多になく大変丈夫ですが、一枚一枚削り出して作られているので手間もコストもかかります。カフナのクロスリブは、1993年に発表したKライトのものと共通の形で、素材も同じポリカーボネイトです。Kライトは、軽量化と購入しやすい価格を目指したモデルとして開発されました。ポリカーボネイトは軽く丈夫で、射出成型することが可能です。射出成型は、鋳型を作るための初期のコストはかかりますが、クロスリブの数の少ない(鋳型も少なくて済む)モデルの場合はその後のコストを抑えることができます。軽量で数を多く生産するモデルに向いた素材です。

フレームの強度

マグネシウム/アルミ合金は丈夫で軽く、スキンカヤックのフレームとして最も適した材料です。現在までに出荷した艇数から考えると、修理の件数は驚くべき少なさです。ツアーガイドは、修理の少なさは木製のフレームのカヤックとは比較にならないと言っています。また、パーツを部分的に修理したり交換することが出来るのはフォールディングカヤックの長所の一つでもあります。Feathercraftのフレームには品質と供給の安定した素材を使用していますので、規格が合わずにパーツの入手が困難になってしまうようなこともありません。その点でも安心してご使用いただけます。

フレームの手入れ

一番大切なことは、塩分を残したまま放置しないことです。非常に簡単なことです。フレームのマグネシウム/アルミ合金には耐腐食加工を施してありますので、簡単な手入れと注意さえ怠らなければ、非常に長持ちします。また、長く組み立てたまま使用する際は、フレームの継ぎ目に付属のボーシールドT-9などの保護剤を塗布しておけば、腐食や塩分の凝結を防止できます。
 手入れや管理について詳しくは [ Owner's Manual ] のページをご覧ください。

Major Parts : その他の主要部品

The Sponsons スポンソン

スポンソンと呼ばれるエアチューブが船体布のガンネルの部分に内蔵されているのは、フォールディングカヤックの大きな特徴の一つです(ほとんどのフォールディングカヤックに内蔵されています)。スポンソンに空気を入れることによって船体布に最終的な張りが与えられ、二次安定性が高められます。またスポンソンがあることによって、たとえ船体内全体に浸水した場合でもフォールディングカヤックは完全に沈没することがない仕組みになっています。
Feathercraftのスポンソンは非常に丈夫で軽いウレタン製で、電磁波溶着技術を用いてチューブに作られています。スポンソンは、自転車のタイヤチューブのように船体布本体とは別体で、デッキとハルの接合部分に溶着されたストリップの部分に縫合されたチャンバーの中に入っています。ですからスポンソンだけ簡単に抜き出し、補修や交換をすることが可能です。補修や交換の実際の方法については、[ Owner's Manual2 ] のページをご覧ください。

The Rudder ラダー

rudder1.gifシーカヤックのラダーとして最も一般的となっているデッキマウントのフリップアップラダー(270°回転してデッキの上に収納するタイプのラダー)は、Feathercraftが開発しました。
現在は多くのカヤックメーカーが類似品を製作していますが、品質や性能は類似品とは一線を画します。Feathercraftは'94年に直径10cmのインジェクションモールデッドディスクを開発し、類似品と比較して最も上げ下げをスムースにしています。ラダーを構成する全てのパーツはコンピューターで制御するルーターでカットされていますので、精度が高く動きがスムースです。ブレードは平らな板ではなく、ナイフの刃のような形状に立体的にカットされています。ブレードの剛性が高く、一枚の平らなシートから切り出したものより抵抗が少ないのが特徴です。沢山の類似品が出回っていますが、やはりオリジナルのFeathercraftのものが最もクォリティーが高く、ラダーはFeathercraftのものを装着しているカヤックメーカーも多々あります。

ラダーが付いたカヤックと付いていないカヤックがありますが、好みも分かれるようで、拘る人はどちら側にもいらっしゃるようです。ラダーが付いているのが "シーカヤック" と思っている人や、ラダーは方向変換のために使用するものと誤解されている(全く間違いというわけではありませんが)人もいます。逆にラダーは邪道と嫌う人もいるようで、意見は分かれます。
中立な立場に立てば誰にもどのカヤックにも絶対にラダーが必要とは言えませんが、針路を保持するための補助として便利な道具であることも確かです。風や流れの影響を受けて、普通にフォワードストロークをしているだけではカヤックが思った方向に進まないことはよくあることですが、こうした場合ラダーがないカヤックで行きたい方向にカヤックを進めるためには片側をスウィープストロークしたり、カヤックをリーンさせるなどの方法が必要です。しかし、足でラダーを操作することができれば漕ぎ方を変える必要が少なくなり、針路を保持することが非常に楽になります。特に長距離を真っ直ぐ漕ぎ進む場合や、ダブル(タンデム)のカヤックにラダーの使用は効果的です。とは言っても風や流れの影響の受け方はモデル毎の特性によって異なります。例えばウィスパーは非常にコントロールのしやすい性質で、軽さを特徴としていますので、ラダーのオプション設定はありません(ラダーが付けられないデザインです)。その代わりに、よりシンプルで軽く似た役割りを果たす、或いは場合によってはそれ以上に効果的なスケッグを標準装備に加えています。また装備(ラダー)を増やすことより、テクニックでカバーすることも選択肢の一つです。Feathercraftのラダー付きのモデルはラダーを取り付けないで使用することもできますので、状況に応じてラダーの有無を選択することも可能です。

The Built-in Coaming System ビルトイン コーミング システム

Feathercraftは、FRPコンポジットカヤックのものと全く同様なFRP製のリジットコーミングを長い間採用していました。このコーミングは、シーソックとスプレースカートがしっかりと固定でき、使いやすさと安全性において他のフォールディングカヤックのものとは一線を画すものでした。
cockpit[1].jpgしかし、2005年発表のウィスパーと共にFeathercraftは新しいコーミングのシステムを開発しました。それがこのビルトインコーミングシステムです。そして2006年からは全てのモデルにビルトインコーミングシステムが採用されています。このコーミングと以前のリジットコーミングとの大きな違いは、分解したときのサイズです。リジットコーミングは一体式なので、カヤックを分解したときの収納サイズはコーミングの大きさに左右されます。しかし新しいビルトインコーミングシステムは、分割式なので、カヤック全体の収納サイズを小さくすることができ、素材がクロスリブと同じ高密度ポリエチレン製のため割れにくく、運搬時のコーミング破損の心配はほぼ100%なくなりました。


coaming[1].jpgこのシステムでは、コーミングの前と後ろの部分は芯が船体布内に組み込まれています。そして刀のような形をしたサイドリムをコーミングのポケットに滑り込ませるようになっています。分割式のコーミングはこれ以前になかったわけではありませんが、膝腿での押さえがしにくかったり、シーソックやスプレースカートが外れやすい信頼性に欠けるものばかりで、リジットコーミングとは比較にならないものばかりでした。このビルトインコーミングシステムには、コックピットブレシングバーがシステムに組み込まれています。そのためブレイスがしやすく、シーソックもスプレースカートも外れてしまいにくく、これまでのリジットコーミングと遜色なく機能します。


The Sea Sock シーソック

シーソックはFeathercraftの全モデル(シットオントップのエアラインは除く)の標準装備品です。
seasock.gifシーソックの付かないフォールディングカヤックやオプションとしているメーカーも数多くありますが、シーソックはsit-inタイプのフォールディングカヤックにとって船体の一部と考えるべきです。シーソックとは、その名の通り巨大な靴下のような形をした防水生地でできた袋で、この巨大ソック(靴下)の中がコックピットになります。隔壁を持たないスキンカヤック(フォールディングカヤック)はコックピットから船体内全体に水が流れ込んでしまう可能性がありますが、シーソックを装着することにより、転倒した場合なども水が溜まるのはコックピット内(シーソック内)だけに留めることができますので、安全性が格段に向上します。また、カヤックの乗り降りの際には砂が船体内に入りやすいものですが、その砂がサンドペーパーのような働きをし、フレームと船体布を痛める原因になってしまいます。しかしシーソックが装着されていれば、砂が入るのはシーソック(コックピット)の中だけになるので、フレームと船体布へのダメージが大幅に軽減されます。
乗るなら絶対につけるべきで、慣れると無いことに違和感を感じるようになるはずです。シーソックは車のシートベルトのようなものと考えてください。しかし、シーソックはコーミングのしっかりしたカヤックでなければ肝心なときには外れてしまいます。Feathercraftのようにしっかりしたコーミングが備わっていなければ、装着しても気休め程度にしかなりません。

The Hatch System ハッチシステム

初期のFeathercraftは、ジッパーの付いた船体布でフレームを覆うタイプのデザインでした。しかし、その後ジッパーは浸水の大きな原因となり、頻繁に使用したり沢山荷物を積むと壊れやすい傾向がある(場合によっては、旅の途中で荷物を出し入れする際にもジッパーは壊れてしまう危険性を持っています)ことが発覚してきましたので、'90年にハッチシステムを開発しました。このハッチの開口部は '' ロールアップクロージャーシステム'' と言って、一般的な防水バッグの開口部と同様な方法で閉じるようになっています。防水は確実で壊れる心配がありません。そして、そのロールアップクロージャーを囲むようにプラスチックの枠を付け、その枠にネオプレンのガスケットのついた布の蓋を被せるようになっています。二重の防水構造です。勿論縫い目はシームシールしてありますので、正しくセッティングされていればハッチからの浸水は全くありません。

hatch1.jpghatch2.jpghatch3.jpg

ハッチからは比較的小さなすぐに使いたいものを出し入れし、大きな荷物は基本的にシーソックを外してコックピットから出し入れします。しかし奥まで荷物を押し込んだり、奥のものを引き出す際にハッチから手を入れられるので大変便利です。またデッキバーの取り付けや、バウ・スターンセクションの挿入の際など、カヤック組み立て分解の際にもハッチから手を入れられると便利です。

デザイン・設計

doug_wisper.jpgFeathercraftのカヤックは、フェザークラフト社の創業者でありオーナーでもあるダグラス・シンプソン氏によってデザイン・設計されています。これは創業以来現在も続いています。他の北米の多くのアウトドアブランドがそうであるように、有名になって大きな資本に買われてビジネスマンに乗っ取られ、名前だけが残って中身は別物になってしまっているようなことはありません。勿論売りやすい価格や儲けを先に計算して作られているような代物でもありません。作る人間がやりたいようにやり続けています。そして自身が最もハードコアなFeathercraftのユーザーの一人です。カヤックには乗らない技術者によって理論と図面だけで作られているようなものではなく、超一流のユーザーによって作られているカヤックです。自身の経験に基づく膨大な知識・データが設計のベースになっているのはもとより、ユーザーの意見にも真摯に耳を傾け、活かされています。そして、製品化にあたっては何度も様々な状況下で実際にツーリングしてテストされ、改良が重ねられます。材料や製造機械への研究にも余念がなく、サプライヤーや機械性製造業者との共同開発にも積極的に取り組んでいます。そして自分の作り出した製品に100%満足してしまうのではなく、常により良い製品となるよう改良が加えられています。
Feathercraftの全てのモデルはツーリング用としてデザインされていますが、モデル毎に明確な特徴や性質の違いがあり、体格や技量、趣向に合わせてお選びいただけます。選択を惑わすような似たようなモデルのラインナップ、'' 安全性や耐久性を犠牲にして初心者用と称した廉価版 '' もありません。全てのモデルがFeathercraftのクォリティーで設計されています。

Performance : 性能

航海性能

スキンカヤックの高い航海性能は歴史が立証しています。Feathercraftは、その高い航海性能を継承するカヤックです。
ところが、主にヨーロッパでデザインされた古いタイプのフォールディングカヤックは、安定性を重視し、より"カヌー"に近いイメージでデザインされ、大きな変化もなく作り続けられていました。そのため、その後に出てきたより伝統的なカヤックのデザインを模したFRPのシーカヤックと比較され、「ファルトボート(フォールディングカヤック)は鈍重」というイメージが定着してしまいました。しかし、Feathercraftのデザインと性能は、そうしたファルトボート(フォールディングカヤック)のイメージを全く払拭するものです。
静水での最高スピードがFeathercraftより速いカヤックは沢山あります。静水でのレース用に作られたカヤックには、平水面ではとても適いません。しかし、海をツーリングすれば様々な状況に遭遇します。静水で速く進むカヤックが荒れた海上でも速く進むことができるとは限りません。ツーリング用のカヤックにとって大切なのは、ある条件下においてのみ発揮される最高速度よりも、悪いコンディションへの適応能力、様々な状況下でもコントロールがしやすいこと、無理のない力で漕ぎ続けられる性能などです。最高速はずっと速いロードレース用の自転車より、荒れた路面ではマウンテンバイクのほうがずっと使いやすく役に立つことは容易に想像がつくと思いますが、それと同じです。こうした性能をバランスよく兼ね備えているのが良いツーリング用のカヤックであり、結果的に速いツーリング用カヤックとなります。Feathercraftはツーリング用のカヤックとして高い次元の航海性能を持っています。

Hull Shape ハルのデザイン

初期のフォールディングカヤックは、短くずんぐりした形状で、よりオープンカヌーに近いスタイルでした。Feathercraftは、それらとは違い、もっと長く細い形状をしています。それは、トラディショナルなイヌィットのカヤックと現代のハードシェルカヤックのデザインに由来する洗練されたシェイプです。
スピードに関しては、性能を左右する様々な要素や条件が絡み合い結果として表れるものであり、一概にどんなデザインすれば最も速くなると簡単に言い切れるものではありませんが、喫水線対幅の比率は大きいほうがスピードが出るという大前提があります。wline-hikaku.png大雑把にに言ってしまえば、長さが短くて幅の広いずんぐりとしたデザインのカヤックより、細長いデザインのカヤックほうが速いということです。全幅をカタログの数字などでハードシェルカヤックと比較すると、Feathercraftは広めであると思われるかも知れません。だから性能的に不利であるかというと、実際は少し事情が異なります。Feathercraftにはスポンソンがありますが、スポンソンによって一番張り出した部分は、喫水線より上になります。ですから喫水線でのカヤックの幅は、少し細いハードシェルカヤックと同程度になります。直進しているとき(カヤックが傾かず直立しているとき)は細く抵抗が少なく、傾いたときには安定性の高い幅の広いハルになるデザインです。
図のAはスポンソンのあるフォールディングカヤックです。Bはスポンソンのないハードシェルのカヤックです。Aのほうが全幅は広いのですが、一番幅の広い部分は喫水線より上に出ています。縦に引いた赤い線が喫水線の位置で、水に浸かっている部分の幅はAB同じになっています。
ラフなコンディションの中を漕ぐと、Feathercraftの安定性の高さを実感すると思います。ガンネルに内蔵されたエアスポンソンは、素晴らしい二次安定性の高さを生み出します。naname.png右の図ではAとBのカヤックを重ねてみました。カヤックが傾いたときはAのカヤックのほうが幅が広い状態になることがわかります
そしてスキンボートは、その構造や材質の特徴によって、ハードシェルのカヤックより波のエネルギーを吸収する性質があります。フレームはハルのキールとチャインの間にチャンネル(水の流れる溝)を形成します。このチャンネルは針路の保持能力を高めます。ハードチャインはターンをしやすくします。そして長年の慎重なデザインは、どんなファイバーグラスカヤックより快適で、操作性が良く、航海性能を高くしました。

Flotation 浮力

ほとんどのフォールディングカヤックがそうですが、Feathercraftにはガンネルに沿ってインターナル エアスポンソンが備わっています。この位置に浮力があることは、安定性を得る上で非常に合理的です。中途半端に水浸しになった(ひっくり返って再乗艇した後など)ハードシェルのカヤックのコックピットは、コックピット内に溜まった水が動くことによって非常に不安定な状態になっています。ですから、一人で再乗艇に成功してもまたすぐにひっくり返ってしまうようなこともよく起こります。しかしフォールディングカヤックの場合は、コックピット内(シーソック内)が水浸しになり、喫水が低くなった状態でもガンネルのスポンソンが支えとなるので、非常に安定しています。再乗艇もしやすく、再乗艇後のポンプでのコックピット内の排水作業も楽に行えます。
エアスポンソンの浮力があることによって、カヤックの中が水浸しになってもフォールディングカヤックは完全に沈んでしまうことはありません。しかし、例え完全に沈まないと言っても、カヤック全体に水が溜まってしまったら水上でビルジポンプだけで排水することはほとんど不可能です。スポンソンの浮力だけに頼らず、シーソックの装着は不可欠です。

Payload 積載能力について

Line-upのページの各モデルのPayloadの数値は、ハルとデッキの繋ぎ目が喫水線から1インチ(2.54cm)のところにくるまでが実用の限界として、カヤックに重しの砂袋とパドラー(人)を載せた時の重しとパドラーの合計の重量を測定した結果です。 例えば、Kahunaはこの数値が136kgとなっています。体重70kgのパドラーなら、カフナには66kgくらいまでの荷物を積載して乗れるという意味です。

kahuna-capa-j.png

例えばK1とカフナの数値を比較して、カフナで積載量が十分かと不安がる人がいます。しかしよく考えてみてください。バックパッキングの旅に60kg以上の荷物が必要でしょうか。カヤックで引っ越しをするわけではないのです。ほとんど引っ越しかと思えるようなオートキャンプを基準に考えないことです。カヤックの旅はバックパッキングの延長と捉えれば、途中何日も食料の補給ができない余程の長旅でない限り、Feathercraftのどのモデルでも積載量が足りないことなどないはずです。一週間山を縦走する人で、60kgも荷物を背負って行く人はあまりいないと思います。逆に考えれば、一週間過ごすための衣食住全ての重さは普通は60kgになどならないとうことです。そして仮に60kg荷物があったとしたら、その他におよそ20kgのカヤックがあるわけですから、全てを自力で一度に運搬することなどほとんど不可能です。

Feathercraftでは実用の限界の数値を最大積載量と考えてこのように測定しましたが、測定方法に決まりはありません。例えばメーカーによっては、沈んでしまうまでの限界の値を浮力の最大値として示している可能性もあります。ですから、測定方法が記載されていない限り、他メーカーのカタログの数値との比較することはできません。

安全性・耐久性

k1-in-surf.jpgFeathercraftは先進的な強度の高い材料と技術を導入し、テストを繰り返した上で製品化されていますので、耐久性が高く安全性を確保するための十分な強度を誇ります。 そして、破損した場合にも最小限の部品交換で修理が可能な構造を持ち、安定した品質の材料によって部品が作られています。耐久性の高い部品を採用していますが、例え破損しても修理して長く使用することが可能です。
しっかりと装着されるシーソックはコックピットから船体内全体への浸水を防ぎます。転倒した場合なども船体内全体への浸水による沈没や操船不能に陥る危険性が極めて低くなっています。 またシーソックは船体布とフレームを傷める砂が船体内に入り込むのを防ぎ、耐久性を高めることにも貢献しています。
そして、フォールディングカヤックの組み立て分解作業は、始業終業点検を毎回実施していることにもなるのです。

高価である理由

Feathercraftの価格を他のカヤックと比較した場合、高価なことは確かですが、高級志向で価格が高くなっているわけではありません。高価である理由は、必要な部分にコストをかけることを惜しまず、妥協をせずに作られているからに他ならず、作る工程は職人の熟練した技術力を要し、機械による大量生産は不可能です。設計者自ら、または同レベルのユーザーの要望に応えるカヤックを作るためには、当たり前のことをしているだけです。価格は、一般的に物を選択する際の重要な要因ではありますが、Feathercraftはあくまでも品質や性能を優先します。売りやすい価格を優先してカヤックを作っても、Feathercraftの考える十分な性能は得られません。そして、Feathercraftは30年使えるカヤックとして製造しています。耐用年数や能力を考えると、安価なカヤックよりお得です。

以前セタスがまだ葉山にあった頃の話ですが、最近近所に越して来たという若いカナダ人が、中古のシングルカヤック(リジット)を探しに訪れました。ところが、聞くとK2を持っているとのことです。K2を持っているのに何故中古のリジット艇が必要なのか聞いてみたところ、
「家が海岸の近くなので、少し時間があるときに手軽に乗れるシングルカヤックが欲しいと思い探しに来ました。K2を持て余しているわけではありません。これからも長く使うつもりです。K2は非常に高かったけど、私自身の人生への投資と考えています。」
確かこんな内容のことを流暢な日本語で答えられました。ポイントは勿論最後の部分ですが、自分が高価な物を買おうか迷うとき、人から「Feathercraftは高い。」と言われるとき、いつもこのときのことを思い出します。

デッキカラー

kayak-colors.png

  • スタンダードスキンのデッキの色は上の6色から選べます。
  • 生地についての説明は[ Technology ]のページをご覧下さい。
  • ウィスパーとKライトで選択できるライトスキンの色は、BlueまたはYellowのみとなります。
  • Airlineは、デッキのマテリアルも色も他のモデルとは異なります。デッキカラーにつきましてもAirlineのページをご覧下さい。