Feathercraft Owner's Manual(フェザークラフト オーナーズマニュアル)

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Owner's Manual

取り扱いと手入れ

フォールディングカヤックはハードシェルのカヤックと比較して傷みやすく、手入れも大変と思われがちですが、そんなことはありません。
組み立てる時、片付ける時を含め、使用中に少し気をつけておけば、Feathercraftは使用後の手入れに大して手間がかかるわけではなく、勿論そんなに壊れ易いものでもありません。
しかし、無神経で雑な扱いをすれば、後で手入れや修理の手間が何倍にもなって自分に跳ね返ってきます。扱いに神経質になり過ぎる必要はありませんが、ちょっとしたコツや心がけがあれば、手入れや管理は楽になり、道具は長持ちします。

乗る前:組み立てと荷物のパッキングのときの注意点

Maintenanceは、使用後の手入れのことだけを意味しているわけではありません。使い始めるときから少し注意深くなっていれば、後で楽がです。

組み立てに適した場所を探す。

  • ishigaki-doug2.JPGなるべく地面が平らであること。
  • 地面はアスファルトやコンクリート、芝生などが良い。
  • 砂地での組み立てははやむを得ない場合以外は避ける。
  • 出艇場所に近いところ。
  • 炎天下で組み立てると、漕ぐ前に無駄に体力を消耗してしまう。暑いときは日陰を探すことも大切。
  • 他人の通行の迷惑にならないなど、社会的常識を踏まえる。

船体内になるべく砂を入れない

hunakata1.jpg船体内に入り込んだ砂がフレームと船体布の間で擦れると、サンドぺーパーと同じ働きをします。要するにフレームも船体布も痛めることになります。ならば極力船体内に砂を入れない工夫をすることが大切です。
また、使用中になるべく砂を入れてしまわないように注意するほうが、入ってしまった砂を出す(掃除する)よりずっと楽です。カヤックにも自分に優しくしたいなら、少しだけ神経質になることです。

  • 足裏に付いた砂が船体内に落ちるので、なるべく組み立て中にコックピットをまたがないようにする。
  • ペダルの位置を調節するときは、靴底や身体に付いた砂はしっかり落としてからコックピットに入るか、シーソックをつけてからコックピットに入り、コーミングとシ-ソックの間から手を入れる。
  • パーツをなるべく直接地面の上に(特に砂の上)に置かない。
  • フレームなどのパーツに砂やゴミを付けたまま組み立てない。
  • 船体内に入れる荷物は、砂を払ってから入れる。

フレームを地面に突き立てない。

フレームの接合部分にバリが出来てしまったり、ゴミ・砂・土が詰まる場合があるので、組み立てるとにフレームを地面に突き立てるようなことはしないほうが賢明です。

長く組み立てたままにする前に

一週間以上組み立てままにするなら、フレームとフレームの接合部分、エクステンションバーのスライド部分内側など、パイプの重なり合う部分に必ずボーシールドT-9、スーパールーブなどの保護剤を塗布してから組み立ててください。パイプの重なり合った部分に海水が溜まってしまうと、腐食や塩分の凝結が起こりやすく、酷い場合は分解できなくなってしまいます。

荷物が多い場合は

katsuyama6.jpg組み立てた場所から空荷でカヤックを移動し、水際(出艇する場所)近くで荷物をパッキングしましょう。荷物で重くなったカヤックの運搬は、カヤックも人も傷めます。


シーソックの使い方

密閉性が高いので、そのまま乗るとシーソックはコックピット内で膨らんでしまい、身体にまとわり付いて非常に乗りにくくなってしまいます。
シーソックをはめたら、必ず一旦陸上でコックピットに入り、コーミングからシーソックの脇を少し開けて空気を逃しながらシーソックをなるべく押し広げておいてください。

  1. pt-sock1.jpgシーソックをコーミングにはめただけの状態。このままではコックピット内にシーソックが膨らんで非常に乗りにくい。
    pt-sock2.jpg
  2. シーソックの脇を開けて、空気を逃しながら乗りやすいようにシーソックを膝や足先でコックピット内に押し広げる。
    pt-sock3.jpg
  3. 機密性が高いので、そのまま脇を閉じれば、一旦押し広げられたシーソックは、コックピット内に張り付いた状態になります。

出艇のとき、漕いでいるとき、上陸時の注意点

FRPやポリエチレンのカヤックと同じような注意が必要です。フェザークラフトがスキンカヤックだからという理由で必要な注意点は、スポンソンの有無くらいです。

  • katsuyama3.jpg岩の上でカヤックを引きずったり、珊瑚やフジツボの上に乗り上げるようなことは避ける。
  • 砂の上は引きずってもハルに穴が開く心配は少ないが、ハルが磨り減る原因にはなるので、なるべく引きずらない。
  • 水中の隠れ岩に注意する。
  • 気温と水温の差が大きいとき(水温が低いとき)は、スポンソン内の空気が水温で冷やされ、スポンソンの空気圧が低下する。そんなときは一旦上陸し、空気圧を上げる(空気を再度入れる)。
  • 逆に、炎天下にカヤックを放置しておくとスポンソン内の空気が膨張するので、日差しが強いときに上陸して休憩などする際は、上陸したら空気を少し抜き、空気圧を落しておく。
  • 沈(転覆)して脱出した場合に、絶対に水上でシーソックを外して排水しようとしないこと。負圧で一気に船体内に水が流れ込む可能性があり、大変危険。

意外にカヤックを傷めてしまうことが多いのが、ゴロタ石の浜(拳大かそれ以上の大きさのきれいに丸まった石の浜)への上陸です。石に角がないので、船体布を傷つけなさそうで良さそうに思えますが、波ととともに上陸すると、波が引くときに石の上にカヤックが落とされるような状態になることがあります。運が悪ければ、アルミのフレームは曲がり、木のフレームは折れ、FRPのハルは割れてしまいます。そしてゴロタ石の海岸はドン深なので、波高は小さく見えても、海岸に打ち寄せる時のパワーは見た目以上の強さがあります。

分解・撤収のときの注意点

フォールディングカヤックの組み立て分解は、使う度に始業点検・終業点検をしているようなものです。考えようによっては手入れを面倒くさがるような人にこそフォールディングカヤックは向いているとも言えます。

  • kenbutsu1.jpg組み立てのときと同様、船体布内に砂を入れないように注意する。砂やゴミが入っていなければ掃除をする手間が省ける。
  • 船体布は組み上がった状態のまま完全に乾かしてから帰ったほうが後が楽。

フレームを抜いてから船体布を乾かす人もいますが、テンションのかかった状態で乾かしたほうが船体布の縮み(コーデュラデッキは特に)が起こりにくく、また乾きやすいので、そのまま乾かすほうが賢明です。時間の許す限りフレームが入ってテンションのかかった状態のまま乾かしてください。
船体布に関しては、他にすることと言えば故障などないか点検しておくだけです。しっかり乾いていれば他には何もありません。

  • エクステンションバーは縮めないで、シリンダーバー(スターン側の太いほう)からピストンバーを必ずき取っておく

縮めて持ち帰る人がいますが、非常に危険です。入れっぱなしのままフレームを洗うのが先延ばしになると、一週間程度でも塩分で固着してしまう場合があります。酷い場合は抜けなくなり交換です。

分解・パッキングの手順

ちょっとしたコツを踏まえた効率の良い分解収納の方法を順を追ってご説明いたします。

  1. 上陸したら荷物を出し、シーソックやシートなどを外し、スプレースカートやPFDなどと共に干す(シーソックは裏返して)。
  2. 船体内に水が入っているようなら、タオルで拭き取る。大量ならビルジポンプも使う。
  3. コーミング、ハッチのリム、ラダーなどを外し、カヤックを上下逆さにしてハルを上に向けて置き、タオルでハルの水分を拭き取り、しばらく干す。その間に他の片付け物や着替えを始める。
  4. ハルが乾いたら(天気が良くない場合は仕方がないので、ほどほどで諦める)、ハルに付いた砂を乾いたタオルなどで払い落とす。
  5. カヤックを表に戻し、デッキ、コーミングやハッチの周体布内の水分を拭き取り、しばらくそのまま乾かす。その間に着替えや他の片付け物をする。
  6. デッキが乾いたら(天気が良くない場合は仕方がないので、ほどほどで我慢する)分解を始める。
  7. フレームが濡れているようなら、分解しながらタオルで拭き取る。
  8. packing1.jpg分解を始めたら、一番最初にパックの底にシートを入れる。背負ったときに身体への当たりを良くするため、シートパッドが背中に当たるように入れる。
    packing2.jpg次にクロスリブ、ハッチのリムをシートの上に乗せる。分解したフレームは、シーソックが乾いているようなら一旦シーソックの上にでも置いておく(フレームより船体布を先に入れるほうが、バッグに仕舞いやすい)。
    packing4.jpg船体布を畳むときは、空気封入用のチューブへ向かって両端から丸めていけば、スポンソン内の空気を押し出すことができる(片端から畳むとスポンソンに空気が溜まってしまう)。ハルに砂が付いているようなら、船体布を丸めながらタオルで拭き取って行く。
    packing6.jpg船体布をパックのグラブハンドル、ショルダーストラップの付いていない側に寄せて仕舞う。
    packing7.jpgエクステンションバー、デッキバー、サイブレスバーをシートスリングにくるみ、船体布の横、パックのグラブハンドル、ショルダーストラップの側に仕舞う。コーミングの芯も同じ側に。
    packing8.jpgバウセクション、スターンセクションを同じ側に仕舞う。パドルのシャフトなども同じ側に。
    packing9.jpgシーソックスプレースカートなどを入れてお終い。パドルのブレードは、船体布の上に置いて、その上にPFDなどを被せて保護するように仕舞うと安全です。パックの中は、かなり余裕があり、PFDやパドルなどは勿論、キャンプ道具などを入れるスペースも十分あります。
    packing10.jpgこの順番で収納しておくと、組み立てるときに一旦パーツをパックから全て出して広げる必要などなく、パーツをパックから取り出しながら組み立てることができます。船体布をパックの右側に寄せて入れ、フレームをグラブハンドルとショルダーストラップの付いているパックの左側に入れている理由は、フレームを傷めないためです。これとは反対に入れたとすると、下げていた肩や手からパックを下ろしたときに、船体布など他の荷物の重みが全てフレームの上に圧し掛かり、地面との間に挟まれてしまうことになります。自分で持っていて下ろすときは丁寧に置くでしょうから心配は要らないと思いますが、飛行機の手荷物や宅配便業者に預けたときは、どうかわかりません。

このパッキングの説明はウィスパーを例にしています。モデルによって細かな部分は異なります。

使用後の手入れ

船体布

使用後にしっかり乾かすことができて異常が発見されなかった場合は、帰ってからすることなど特にありません。

  • 使用後に乾いていなかった場合は、出来ればフレームを入れてテンションがかかった状態で乾かす。理由は「分解・撤収時の注意点」にある通り。
  • 淡水(河川や湖)で使用した場合は、海水の場合よりカビが発生しやすいので、よりしっかり乾かしておく必要がある。
  • 汚れが気になって真水で洗った場合は淡水で使用した場合と同様で、きっちり乾かさないと塩分が残っている状態よりカビが発生しやすくなる。

キール・チャインの補強ストリップには彫ったような傷が出来やすいので、気付いたらなるべくアクアシール(付属の接着剤)やシューグー(ウレタンと相性が良く、価格が安い)などで傷を埋めておいてください。

船体布が縮んでしまった場合の対処、コーデュラデッキの防水については、[ 修理、保障 ] のページをご覧ください。

フレーム、ラダー

フレームやラダーなど金属部品の手入れで大切なことは、海水で濡れたら真水で濯ぎ、塩分を残さないこと、そして濡れたままにしないことです。

  • 分解して乾いていても、海水で濡れた場合はそのまま長時間バッグに収納したままにせず、なるべく早く真水で濯いでおく。
  • ラダーは、可動部分に砂が噛まないようによく洗い流しておく。
  • 洗った後そのまま放置しておくと、表面が所々白っぽくなることがある。自然に乾燥させるだけより、水分を拭き取ったほうが良い。
  • 2ヶ月に一度はフレームとフレームの接合部分、エクステンションバーのスライド部分内側など、パイプの重なり合う部分にボーシールドT-9、スーパールーブなどの保護剤を塗布しておく。

シーソック、スプレースカート、シートなど

シーソックやスプレースカートなどの布地も、やはり良く乾かしておくことが大切です。ネオプレンは紫外線で劣化しやすいので、なるべく日向に干すより、乾くのに時間はかかりますが、風通しの良い場所で陰干しのほうがより良い方法です。

収納バッグ

収納バッグの手入れは意外と忘れられがちです。ジッパーに塩分が残っているとスライダーが錆び付いたり、塩分で固着し、酷い場合は開閉不能になってしまいます。
海水で濡れた場合は塩分が残らないように真水でよく洗い流しておいてください。保護剤(ジッパー用のものもありますが、Boeshield T-9、Super Lube、その他シリコン系やテフロン系の潤滑保護剤でも結構です)を塗っておくとより安全です。

保管

分解した状態での保管

  • 各パーツとも良く乾かしてから収納保管する。
  • 保管場所の湿気に注意する。しばらく使わない場合は、たまにバッグを開けて結露などで湿っていないか確認する。
  • 2〜3ヶ月に一度、または水洗いを5〜6回した後にはフレームとフレームの接合部分、エクステンションバーのスライド部分内側など、パイプの重なり合う部分にボーシールドT-9、スーパールーブなどの保護剤を塗布しておく。
  • 収納バッグが日焼けしないように、置く場所に注意する。
  • なるべく湿気少ない場所に。

HDPE製のクロスリブ(カフナ、Kライト以外)は、上に重量のあるものが乗って無理な力が加わり続けていると、気温が高い場合は変形する場合があります。変形しても直すのは難しくありません([ 修理、保障 ] のページを参照)が、置き方には少し注意してください。

組み立てた状態での保管

フォールディングカヤックだからと言って、毎回必ず分解しなければいけないわけではありません。組み立てたまま保管しても構いません。

  • 紫外線は万物を傷める原因となる。紫外線に強いポリテック/デュラテックでも、なるべく直射日光の当たらない場所で保管する。コーデュラナイロンのデッキ、またハッチカバーやグラブループなどのパーツは、紫外線によって退色、劣化しやすいので特に注意する。
  • 保管場所は、出来れば雨風紫外線をしのげる屋根の下で。それが無理ならシートなどを被せておくのも良い。
  • 船体内に水が溜まっていたら、必ずしっかり排水しておく。
  • 一週間以上組み立てたままにするなら、組み立てる前に、フレームとフレームの接合部分、エクステンションバーのスライド部分内側など、パイプの重なり合う部分にボーシールドT-9、スーパールーブなどの保護剤を塗布しておく。
  • 2ヶ月に一回は分解し、フレームとフレームの接合部分、エクステンションバーのスライド部分内側など、パイプの重なり合う部分にボーシールドT-9、スーパールーブなどの保護剤を塗布しておく。
  • 雨だけでなく、ゴミや虫、動物の侵入を防ぐために、上下逆さにして置くとしても、コックピットカバーをつけておく。
  • 部分的に無理な力がかかったり、カヤックの端と端を支えるような置き方をしない。
  • 船体に負担のかかるような重量物を入れておかない。

運搬

たたんだ状態での運搬

inatrain.jpg 自分で運ぶ場合は、持ちやすいように、或いは背負いやすいように工夫してパッキングしましょう。しかし、宅配便を利用する場合や飛行機の手荷物として預ける場合は、それだけで十分ではありません。フレームやコーミング(FRPコーミングは特に)などのパーツを保護するようなパッキングの仕方の工夫が必要です。また、ショルダーハーネスは収納しておかないと、引っ掛けて壊されてしまう場合があります。シングル艇のトラベルスタイルバックパック全体を保護するなら、オプションのシッピングが便利です。これはトラベルスタイルバックパックごとすっぽり収められるシンプルで丈夫な「ずだ袋」です。かさ張らず、邪魔にもなりません。

組み立てた状態で車での運搬

運搬時に小さく畳んで運べるのはフォールディングカヤックの大きな利点の一つですが、組み立てままのフォールディングカヤックをリジットのカヤックのように車の屋根に積んで運搬することも可能です。車の屋根に取り付けたラックに積み、タイダウンベルトなどでラックにカヤックを固定し、カヤックの前後と車の前後をロープなどで固定するのが一般的な方法です。タイダウンベルトやロープは緩くても危険ですが、締め付け過ぎもカヤックを傷めてしまうので注意が必要です。また、警察に一時的な許可を申請した場合を除き、車の全長の10%を超えて積載することは違法となりますので注意してください。例えば全長4.5mの車(5ナンバーや4ナンバーの小型車の規格は全長が4.7m以内、軽自動車の規格は全長が3.4m以内です。例えば普通のハイエースは結構大きく見えますが、全長4.7m以内に収まっています。)の場合、最長でも4.95mまでのカヤックしか積めないことになります。しかしこれは前後にはみ出した長さの合計が45cm以内ということですから、例えば車の屋根の長さの都合で後ろに少しずらして積み、車から後ろに45cm以上はみ出してしまったら厳密には違法となってしまいます。

修理・保証

フォールディングカヤックは、傷んだパーツを部分毎に交換することが可能です。
また、船体布の修理は、FRPやポリエチレンのシェルの修理より簡単です。

船体布の修理

ハルの修理方法をご紹介します。難しくはありませんので、ハルが損傷してしまった場合は、これを参考に修理してください。

小さな穴

ピンホールのような小さな穴を開けてしまった場合(釘のようなものを刺し、貫通はしているけど小さな穴だけの場合は、アクアシールだけで修理できます。
まず、COTOL-240(アクアシールに付属の硬化剤)で穴の周囲をきれいに拭きます。そして裏側に仮止め用テープを貼り、アクアシールを穴の開いた部分に塗ります。平らな状態を保ち、完全に硬化した後(約36時間)にテープを剥がします。急いでいるときは、COTOL-240を混ぜる(量は多くてもアクアシールの1/2~1/3。良く混ぜてください。)と、速ければ約2時間で硬化します。

ダメージが大きな場合

大きく穴が空いてしまった場合は、穴の開いた箇所に船体布の内側からパッチを貼って穴を塞ぎます。外側からパッチを貼るより剥がれにくく、また見た目にもきれいに仕上がります。

  1. skin-1.jpg穴の開いた箇所の船体布の内側の、ゴミや埃を取り除き、塩分や油分を拭き取ります。そして穴の周囲1.5~3cm位外側をマーキングします。
    skin-2.jpg
  2. 補修する箇所にリペアキットに含まれているデュラテックのシートを当ててみて、マーキングした部分がしっかり隠れる大きさに切り抜き、パッチをつります。パッチがあまり小さいと貼り難く、剥がれやすいので、最小でも3cm四方以上が適当です。写真のように複数の損傷が隣接してあるようなら、まとめて塞いでしまいます。パッチは四角く切ったままだと剥がれやすいので、必ず角を丸く切り落としておきます。
    skin-3.jpg
  3. COTOL-240で拭き取った後パッチの大きさより少し(5mm以内)広く囲うようにマスキングテープを貼り、テープの内側に軽くサンドペーパーをかけ、少しざらつかせます。削りかすを払い、COTOL-240(アクアシールに付属の硬化剤)で穴の周囲をきれいに拭きます。
    裏側(船体布の外側)に仮止め用テープを貼ります。
  4. skin-5.jpgパッチ全面にアクアシールをヘラで伸ばしながら均等に塗り(厚くなりすぎに注意)、修理する面に貼り付けます。急いでいるときは、COTOL-240を混ぜる(多くてもアクアシールの1/2~1/3の量)と、速ければ約2時間で硬化します。COTOL-240を使う場合は良く混ぜてください。
    平らな状態を保ち、パッチがしっかり張り付くように重しを載せます。完全に硬化した後(硬化剤なしの場合は約36時間)、反対面に貼ったテープを剥がします。
  5. 船体布の外側の穴の周囲がささくれて傷んでいるようなら、この後にささくれた部分にシューグー塗って補強します。

TEAR-AIDで

TEAR-AIDは粘着テープですが非常に強力な接着力があるので、ダクトテープのような応急処置用ではありません。最終的な修理の手段となります。パッチと接着剤の代わりとして十分使用可能です。
貼る前に接着面をきれいにしておくことは接着剤を使用する場合と同様です。

貫通していない場合

最も多い損傷が、キールとチャインの補強ストリップに出来てしまう、彫刻刀で彫ったような傷です。貫通していなければ使用上問題はないのですが、このような傷はアクアシールかセメダインスーパーX ブラックで埋めておけば、さらに傷が深くなるのを防げます。穴が開いてしまった場合と同様に、塗る面はしっかりきれいにしてから接着剤を塗布してください。

ツーリング中の応急処置

ツーリング中の応急処置の方法については左横のコラムでも紹介していますが、お勧めはTEAR-AIDです。

スポンソンの補修、交換

スポンソンンは、自転車のタイヤのチューブのように、本体(カヤックの中にあるチャンバー)とは別体になっています。修理の際は、チャンバーから抜き出して修理します。

  1. コックピットの部分から船体布を裏返します。スポンソンの両端の耳に小さな穴が開いています。修理する箇所に近い側の端の耳についた穴(チャンバーの端に結び付けてあったらそれを解きます)に、カヤックと同じ位の長さの紐を結び付けます。
  2. 空気封入用のチューブのチャンバーの出口の部分から、修理する箇所のあるほうの(紐を結びつけたほうの)スポンソンを抜き出します。紐の端はチャンバーから抜き出さないようにしてください。
  3. リペアキットにはスポンソンと同じ素材の補修用シート(オレンジまたは黒のリップストップ、古いタイプは白い半透明)が含まれています。それを修理箇所に貼付けるわけですが、方法は船体布の修理と同じ要領です。「船体布の修理」の項目を参照してください。
  4. 接着剤が完全に硬化したら、紐を引いてスポンソンを元の位置にセットし直します。このときスポンソンが捻れて入らないように注意してください。

穴ではなく、スポンソンが破裂して大きく裂けてしまったような場合は、スポンソンの交換が必要です。上の説明と同じ要領でスポンソンを抜き出し、紐をチャンバーの中に残したまま、紐を新しいスポンソンの耳に結わえ直し、紐を引いて新しいスポンソンをチャンバーにセットします。

エアラインのスポンソンは、空気封入口がスターン側についていますので、スポンソンの修理・交換の場合は、スポンソン全体を抜き出します。紐の長さはカヤックの長さの倍位にしてください。

「補修用シート+接着剤」の代わりに、TEAR-AIDでも修理できます。強度も全く問題ないばかりか、時間も短縮できます。破れてしまった場合にも、完璧に治すのは無理だとしても、TEAR-AIDのほうが修理できる可能性は高くなります。

エンドキャップが外れた場合

船体布の先端を保護するためにバウエンドキャップとスターンエンドキャップ(ラダーブラケット)が付いていますが、これが外れてしまうことがあります。アクアシールでもシューグーでも接着できます。接着する際は、カヤックを組み立てた状態で接着しますが、接着面の汚れや油分を良く落とし、接着剤が硬化するまで外れないようにマスキングテープや紐を使ってしっかりと固定しておくことがポイントです。

船体布が縮んだ場合の対処法

コーデュラデッキの場合に起こりやすいのですが、デッキの生地が縮んで組み立てが困難になることがあります。ポリテックデッキの場合でも、冬場などに使用頻度が低いと、キールエクステンションバーを伸ばすのがきつくなることがあります(スポンソンのチャンバーの縮みが原因の場合もあります)。そんなときは真中の穴までエクステンションバーのテンションを上げる必要はありませんが、一段目の穴でもきつい場合や、コーミングをはめられないくらいコーデュラデッキが縮んだ場合は、船体布を濡らします。湿らす程度ではなく、出来れば水に浸けるなどして船体布全体を十分に濡らし、しばらく放置してください。乗る前にカヤックの中まで濡らしてしまうのは、あまり心地良いものではありませんが、これでほとんどの場合は組み立てられます。そしてフレームを組んだまま、船体布にテンションがかかったまま乾かせば、船体布は元の状態に戻ります。

コーデュラナイロンデッキのモデルの防水

シールスキン(ポリテック/デュラテック溶着接合の船体布)以前のカヤックで、縫い目からの浸水が多いようであれば、目止め(シームシール)をすることで改善されます。
しかし、浸水は多くの場合、シーソックの防水性能の劣化によるものが多いので、浸水が多い場合は、まずはそちらを疑ってください。
また、デッキ表面の撥水性能は、衣料などと同様で、使っているうちに劣化してきます。水をはじかなくなってきたら、市販の撥水スプレーを使用すれば使用後の乾きも速くなり、汚れも付きにくくなります。

シームシール(目止め)の仕方

アウトドアショップなどで市販されているシームシーラー(テントなどに使うもの。チューブ入りが多い。)を使用します。

デッキとハルの接合部分

  • シームシーラーのチューブには大抵ノズルが付属していますが、この部分はシュリンジ(注射器のようなもの)にシーラーの溶液を入れて使用したほうが塗りやすく、きれいに仕上がります。
  • 組み立てた状態のカヤックを何かで支えて横に向けて置きます。この状態で塗れば、縫い目にシーラーが浸透しやすくなります。
  • ウェビングループの付けられている部分は、ウェビングループの両側に塗ることを忘れないでください。

デッキ面の縫い目

  • カヤックは分解し、船体布を裏返して縫い目に塗ります。
  • 表に塗るとシーラーが速く劣化し、見た目にも良くありません。

フレームの修理

フレームが曲がってしまった場合の曲げ戻しは、簡単ではありません。また一度曲がったものを曲げ戻すと、金属疲労を起こしていますので、元と同じ強度はなくなってしまいます。フレームが曲がってしまった場合はご相談ください。

エクステンションバーの固着

カヤックを分解後、エクステンションバーのピストン側をシリンダー側から抜き取らないで保管する人がいますが、これは絶対に止めてください。例え洗った後でも、時間が経つと固着してしまう場合があります。使用後は勿論、洗った後でもエクステンションバーは必ず分解して保管してください。
もし固着してしまった場合は、暫く水に浸けおきし、塩分が溶け出すのを待ちます。手で握って抜けないからと言って、フレームをバイスで強く挟むのは危険です。円柱がつぶれて戻らなくなります。挟むなら、グリップ部分がプラスチック製の傷のつきにくいプライヤーを使う程度にしてください。暫く水に浸けても駄目な場合は交換するしかありません。奥の手でバーナーで炙る方法がありますが、これは金属を痛めてしまう危険性が高く、また作業的にも危険なのでお勧めいたしません。

クロスリブの変形

HDPE(高密度ポリエチレン)のクロスリブは、暑いところで長時間使用した場合にカヤックの形状に沿って若干変形する場合があります。また保管時にも、部分的に強い力がかかっていると変形する場合があります。しかし心配は要りません。分解して日光に当てて暖めれば、平らに戻ります。変形を防ぎ強度を上げるために、特にサイズの大きなK2のクロスリブにはアルミのプレートで補強がしてあります。
カフナとKライトのポリカーボネイト製のクロスリブは、HDPE製より欠けたり割れたりはしやすいのですが、熱で曲がることはありません。

修理のご依頼

当店では、勿論フェザークラフトカヤックの修理も承っております。
修理品を直接当店へお持ちいただいたり、お送りいただく前に、必ず以下の手順に従っていただきますようお願い致します。

  1. (株)A&Fに修理をご相談または依頼されましても、当店に連絡が回るだけで、実際に修理をするのは当店です。当店または旧A&F フェザークラフトショップでご購入いただいた方は、(株)A&Fを通さず直接当店へご相談ください。
  2. 他店でご購入いただいたカヤックの修理も承ります。また、輸入元の(株)A&Fに依頼された修理も、現在実際には大抵当店が請け負っています。しかし、他店でご購入いただいたカヤックの場合は、一応まずはお買い求めいただいた販売店、または(株)A&Fにご相談ください。
  3. 当店へは、最初にEメールで以下のことをお知らせください。お電話より、なるべく文章(Eメール)でお願い致します。
    • ・モデル名、年式、ご購入された店名。
    • ・破損の状況や状態がわかるように詳しく。
    • ・他店でご購入いただいた方は、船体布のシリアルナンバー。
      • 余程古いもの以外、数字とアルファベットを組み合わせたナンバーが船体布の船尾のほうに付いています。正規輸入のフェザークラフトカヤックは、このシリアルナンバーが控えられています。
    • ・お客様のお名前、ご住所、ご連絡先など。
  4. 修理代金は、お送りいただいたご説明で大まかな見当はつきますが、単純なパーツ交換など以外の場合は、現物を確認しないと正確な判断ができないことも多々あります。修理はそれをご了承いただいた上で承ります。
  5. 当店の担当者から返信がありましたら、修理品を当店へお持ちいただくか、お送りください。

その他の注意事項

  • 修理に出される前に、船体布、フレームとも、汚れている場合は洗うなどして必ずきれいな状態にしておいてください。修理するためにクリーニング作業が必要な場合は、別途クリーニング作業代を請求させていただく場合や、お受けしかねる場合もあります。
  • 船体布に補強や修理のためのテープなどを貼られている場合は必ず剥がし、テープの接着剤が残っていない状態にしてから修理に出されるようお願いいたします(修理箇所に直接影響のない部分でしたら結構です)。そのままの場合は修理をお受けいたしかねます。
  • 著しく改造が施されている場合は、保障の対象外とさせていただく場合がございます。
  • 船体布は、損傷の程度により、修理が不可能で船体布全体の交換となる場合もございます。
  • パーツや修理材料は極力在庫するようにし、迅速な対応ができるよう心がけておりますが、在庫を切らしているパーツや、通常は在庫していないパーツもあります。そうした場合は、メーカーから取り寄せることになり、時間がかかる場合もありますが、ご了承ください。
  • (株)A&Fによる正規輸入品以外の場合は、(株)A&Fの保障の対象外となり、修理工賃・パーツ代金等も補償対象品とは異なります。
  • 現在、Feathercraftの輸入元の(株)A&Fでは、実際の修理作業等は行なっておりません。A&Fに修理をご依頼いただいた場合も、実際の作業等の大半は当店セタスが請け負っています。しかし、他店でお買い上げいただた場合は、一応まずはお買い求めいただいた販売店、または(株)A&Fにご相談ください。
  • 当店をご利用いただくのが初めての方は、こちらのページのフォームからEメールをお送りください。

保証

Feathercraftは、パーツと技術に5年間の保障をしています。パーツの欠陥、または製造上問題があった場合は、無償で修理、パーツの交換をいたします。Feathercraftは30年使えるカヤックとして製造されています。永く使えるので、安価なリジットのカヤックよりお得です。

株式会社エイアンドエフによる保障対応は、正規輸入品に限ります。全てのFeathercraftのカヤックの船体布には、シリアル番号が割り当てられています。正規輸入のカヤックは、このシリアル番号が控えられています。

著しく改造が施されている場合は、保障の対象外とさせていただく場合がございます。

荷物を積載するコツ

ハッチからは、あまり大きな荷物の出し入れができません。しかし、コックピットから荷物を出し入れ出来るので、長尺物(長いドライバッグやテントのポールなど)、大きな物を入れやすいのはスキンカヤックの大きな利点の一つです。
左右のバランス良く荷物を振り分けるのは重要ですが、重いものはなるべくカヤックの中心近く(コックピットの近く)、そして低い位置に積むようにします。
あまり大きなドライバッグを使うより、薄型、小型、円錐形などのドライバッグを使用するほうが効率良く荷物を詰めることができます。

ツーリング中の船体布の修理

ツーリング中に船体布に穴が空いてしまったら・・・。
応急処置としてダクトテープを貼って穴を塞ぐ場合は、貼る面に塩分や油分など汚れがあったり、湿っていてもテープはすぐに剥がれてしまいます。テープを貼る面はよく乾かし、COTOL-240かアルコールで拭いてきれいにしてから貼ってください。どちらもない場合は砂で擦って汚れや油分を落とします。そしてその後に砂をきれいにふき取ってからテープを貼ります。

しかし、最もお勧めの方法は、「TEAR-AID」での修理です。

アクアシールに硬化剤のコトルを添加すれば、約2時間で一応硬化することになっています。しかし、やはり2時間だけでは少し不安です。出来れば一晩は時間をおきたいものです。
TEAR-AIDは、非常に強力な接着力のある粘着テープです。ダクトテープはあくまでも応急処置にしかなりませんが、TEAR-AIDは、接着力もずっと強いばかりか、見た目も目立たず、応急処置としてではなく、そのまま最終的な修理の手段となり(絶対に剥がれないわけではありませんが、それは接着剤でも同じことです)ます。価格は高価ですが、その価値はあります。
何れの方法でも接着面をきれいにするのは必須です。

TEAR-AIDは当店の店頭でもOn-line Shopでも販売しています。

ツーリング中のフレームの修理

ツーリング中に、もしフレームが折れてしまったら・・・。
折れたフレーム同士を、木の棒などを削って差し込んで繋ぎ合わせます。そして、場合によっては外側からも添え木をした後、アルミのテープ(水道管の補修などに使うキッチンテープなどと呼ばれているもの)を巻き付け、しっかりと固定します。

備えておきたい修理キット

Feathercraftには、立派なリペアキットが標準で付属しています。しかし、このキットの中には十分な時間があるときに補修するための材料なども含まれており、全てを持ち歩く(漕ぐ)必要はありません。
また逆に応急処置に持っておくと良いもの全てが含まれているわけではなく、工具も付属していません。
そこで、ツーリング中に備えておきたい修理の材料や工具などをご紹介いたします。

  • 針金
  • TEAR-AID
  • キッチンテープ(アルミテープ)
  • ビニールテープ(人間の傷の応急処置にも結構重宝)
  • 針と糸
  • サンドペーパー
  • プライヤー
  • ナイフ
  • ドライバー(アーミーナイフなどに付いているものでも可)
  • キャップボルト用の六角棒レンチ

マルチプライヤーにドライバーがついていますが、プライヤーとは別体のドライバーがなければ、プライヤーでナットを挟んでドライバーでビスを回すことができないですが・・・。
TEAR-AIDがあれば、補修布と接着剤も必携ではありませんが、補修布と接着剤も長旅の場合は持っておいたほうが良いと思います。

TEAR-AIDは当店の店頭でもOn-line Shopでも販売しています。

修理は帰ったらすぐに。

使用中や後片付けをしているときに故障や傷を発見したら、先延ばしにしないで、帰ったらすぐに修理するよう、心がけましょう。なるべく早いうちにやっておかないと、いつしか忘れてしまい、「いざ使おうと思ったときは壊れたまま」或いは「壊れていたことを忘れている」なんてことになりかねないからです。これはFeathercraftを愛用していた故ローリー イネステイラー氏の遺した名アドバイスです。
それでも忘れてしまうことがあり、その度に穏やかな口調で「だから言ったでしょ。」とローリーさんの声が聞こえてきます。これは本当に守ったほうが良いと思います。

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船体布を洗うべきか?

残った塩分が船体布を痛める原因になるかどうか、化学的にどうなのかは正直言ってわかりません。しかし私は滅多に船体布を洗うことがありませんが、それによって船体布が傷んでいる実感はありません。逆に塩分が残っていることによって、カビが発生しにくい利点があることは確かなようです。木のフレームとキャンバスなどでスキンカヤックを作っている人達は、真水で洗ってしまうと木やキャンバスにカビが発生するので敢えて洗うことはせず、海水で使ったままにしておくと聞いたこともあります。

船体布が縮んで組めない

特に古いコーデュラデッキのモデルの場合に多いことですが、暫く使っていなかったりすると、船体布が縮んで組み立てられなかったり、コーミングがはまらないことがあります。しかし、諦める必要はありません。船体布を水に浸けるなどしてしっかり濡らすと生地が伸びやすくなり、ほとんどの場合組み立てることができます。コーミングがはめられない場合は、コーミングの周囲にたっぷり水をかけてから再度やってみてください。

沖合で船体布に穴が・・・

これを心配する人がたまにいますが、船体布に穴が開く原因のほとんどは、浅瀬に乗り上げた際に何かが刺さってしまうことです。要するに船体布に穴が開くのは大抵岸近くです。根も隠れていないような水深の深いところを進んでいる限り、絶対にないとは言いませんが、船体布に穴が開く確率は非常に低いと考えられます。

サメにかじられるのが心配?

サメにかじられたら、スキンカヤックでは危険なのではと言う人がいます。ならばFRPやポリエチレンでできた船体なら安全と言えるでしょうか? サメの顎の力の前では、フレームと船体布のスキンカヤックも、薄いプラスチックのシェルも大した違いではないと思います。絶対に噛まれたくはないけど、ホオジロザメなんかに噛まれたらどんなカヤックに乗っていても多分駄目なことに違いはないと思うのですが、いかがでしょうか?